クラフトビールに興味はあるけれど、「値段が高くて手が出しづらい」と感じたことはありませんか?
実はその価格には、ちゃんとした理由があります。
この記事では、クラフトビールが一般的なビールより高くなる理由を、原料・製法・流通などの観点からわかりやすく解説。さらに、飲み比べセットやサブスクを活用して、お得に楽しむ方法も紹介します。
初心者の方でも、自分に合った1本を見つけられるよう、選び方のヒントもあわせてお届けします!
そもそもクラフトビールとは?
最近、ますます注目を集めているクラフトビール。気にはなっていても、「普通のビールと何が違うの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
まずは、クラフトビールの定義や特徴について簡単におさらいしておきましょう。
※クラフトビールについて、より深く知りたいという方は、こちらの解説記事(「クラフトビールとは!? 初心者向けにわかりやすく解説!」)もご覧ください。
クラフトビールの定義と大手ビールとの違い
クラフトビールとは、小規模なブルワリーが独自のレシピとこだわりの製法でつくるビールのことを指します。
大量生産を前提とする大手メーカーのビールと比べて、以下のような違いがあります。
大手ビール | クラフトビール | |
---|---|---|
生産規模 | 全国・大量生産 | 小規模・地域密着 |
味の傾向 | 飲みやすく万人むけ | 個性豊かで多様 |
製造姿勢 | 安定供給・品質均一 | 原料や製法に強いこだわり |
原材料 | 基本的な素材中心 | 副原料(果実・スパイス等)も多用 |
クラフトビールは、「小ロット」「手作り」「個性派」という特徴を持つ点で、まさに“クラフト(職人技)”の名にふさわしいビールです。
価格の(ざっくり)目安
気になる価格面では、やはりクラフトビールの方が高めに設定されています。
目安として、コンビニや酒販店で販売されている350mlの缶ビールの価格を比べると…
・大手ビール(アサヒ・キリンなど):約200〜220円程度
・クラフトビール(国内産):約300〜600円程度
・輸入クラフトビール:500〜1,000円以上も珍しくない
価格差が生じる理由は、主に生産規模・原材料・輸送コストなどにあります。次章では、価格差の理由を5つのポイントに分けて解説していきます。
2025年7月、筆者の住む神奈川・湘南エリアにある大型酒専門店・KYリカーの店舗を訪れたところ、国内大手メーカーの「アサヒ スーパードライ」「サッポロ 黒ラベル」といった缶ビールは、212円(税込)で販売されていました。
一方、業界最大手のクラフトビールメーカー・ヤッホーブルーイングの缶ビールの価格を見ると、「よなよなエール」が296円、「インドの青鬼」が323円、「水曜日のネコ」が323円となっていました。
なぜクラフトビールは高い? 5つの理由
ここまで解説した通り、クラフトビールは、大手ビールと比べて1本あたり100円〜1,000円以上高いことも少なくありません。その背景には、製造方法から流通、原材料に至るまで、いくつかの明確な理由があります。
ここでは、クラフトビールが高くなる5つの代表的な要素をわかりやすく紹介します。
小規模生産ゆえのスケールメリットの欠如
大手ビールメーカーは、全国規模で大量生産を行い、1本あたりの製造コストを大きく抑えています。
一方、クラフトビールは小ロット生産が基本。そのため、設備投資や仕込みの手間が1本あたりに分散されにくく、コスト高になりやすいのです。
たとえば、100万本をつくる場合と1万本をつくる場合では、同じ設備でもコストの回収効率が全く異なります。
原材料にこだわっている
クラフトビールの魅力のひとつが、個性あふれる味わい。これを生み出しているのが、ブルワリーごとの原材料への強いこだわりです。
・地元産の小麦やフルーツを使用
・海外から取り寄せた希少ホップを使用
・副原料としてスパイスやハーブ、ナッツ類を使用
このように、素材選びの自由度が高く、品質の高い原料を選ぶ分、当然コストも高くなります。
例えば、クラフトビールの原料として国産の麦芽を採用する銘柄も増えていますが、国税庁の資料によれば、「地ビール製造における国産麦芽の使用拡大を図るにあたって、解決すべき課題は何ですか。」というブルワリーへのアンケートに対し、55.8%が「大麦(麦芽)の価格が高い」と回答しています。
出典:国税庁「国産麦芽の活用に関するセミナーの開催に当たって」
特殊な製法・実験的なアプローチ
クラフトビールには、一般的なピルスナーだけでなく、IPA・ベルジャンホワイト・スタウトなど多種多様なスタイルがあります。
また、ブルワリーごとに樽熟成・酵母の変更・高温短時間発酵など実験的な醸造方法を取り入れることも。
これらは手間や技術が必要で、歩留まりが悪くなるリスクもあるため、結果的に価格に反映されやすいのです。
ブルワリーの立地(輸送コスト)
クラフトビールは都市部だけでなく、山間部や離島など独自の地域性を活かした場所にブルワリーが多く存在します。
その分、店舗への流通ルートや保管コストが大手に比べて割高になりやすくなります。
また、輸入クラフトビールの場合は、国際輸送や関税の影響も大きく、現地価格の倍以上になることも珍しくありません。
酒税や輸入関税などのコストも影響
日本では酒税法によって、原料や麦芽の使用比率などで税率が変わります。
クラフトビールはその多くが「ビール」または「発泡酒」に分類され、副原料の量によってはビールよりも高い税率になることも。
また、海外から輸入されるクラフトビールには、関税・消費税・通関手数料などもかかるため、結果的に価格が上乗せされることになります。

これら5つの理由を考えると、クラフトビールの価格は、「高い」のではなく「手間がかかっている結果」と言えますね。単純に大手のビールとクラフトビールを比べると、「クラフトビールが高い」と見えがちですが、それぞれ別物と考えた方が良さそうです。
お酒トレンド研究所の記事では、『「多少高くても、美味しいクラフトビールを飲みたい」という層が増え、高価格帯でも安定した需要』が増えており、『クラフトビールの普及は「質と体験」にお金を払う消費行動を醸成し、ビール市場全体の単価上昇』につながっていると言及されています。
引用:お酒トレンド研究所「【2025年最新版】クラフトビール市場の動向と将来性を徹底解説|国内外の規模・トレンド・参入チャンスまで」
お得にクラフトビールを楽しむ4つの方法
クラフトビールの価格が高めとはいえ、工夫次第でコスパよく楽しむことも可能です。ここでは、初心者でも取り入れやすい4つの方法をご紹介します。
飲み比べセットを頼もう
初めてクラフトビールを選ぶ方におすすめなのが「飲み比べセット」です。複数種類のビールを少量ずつ楽しめるため、自分の好みに合うスタイルを見つけやすくなります。
また、単品で購入するよりも1本あたりの価格が抑えられている場合も多く、コスパの面でも◎。Amazonや楽天市場などのモール型ECサイトでは定期的に特集が組まれており、Otomoniのような専門サービスも多彩なセレクトを展開しています。
おすすめセットや選び方は、下記の記事でも詳しく解説しています。
賞味期限間近の商品を狙う
ビールは食品と同じく「賞味期限」があります。とくにクラフトビールは要冷蔵や未濾過タイプも多く、流通の都合で賞味期限が迫った商品が値下げされるケースがよくあります。
こうした商品は以下のような方法で見つけられます:
この方法では、同じビールを安く購入し続けることは難しいですが、「気になるビールが安く売られていたらラッキー」くらいの感覚で探してみてはいかがでしょうか。
定期便(サブスク)でお得に
毎月の楽しみとして「クラフトビールの定期便」を活用するのも有効です。最近は、各社がサブスクリプション型サービスを提供しており、通常価格よりも10〜20%程度安く購入できるケースも少なくありません。
代表的なサブスクとしては、次のようなものがあります。
サービス名 | 特徴 | 月額 |
---|---|---|
Otomoni | 毎月6本の厳選ビールをお届け スタイリッシュな体験型 | 4,378円〜 |
ホッピンおじさんの新作定期便 | サッポロビール直営 新作ビールがいち早く楽しめる | 4,950円 (サイクルは2ヶ月に1度) |
クラフトビール定期便(楽天) | ポイント還元率が高くお得 | 3,000円前後〜 |
クラフトビールのサブスクについて、より詳しく知りたい方は、下記の記事もお読みください。
気に入ったものが見つかったら、販売店を見つけて会員登録!
気に入った銘柄が見つかったら、ブルワリーや販売店の直販サイトを確認してみましょう。
直販だからこそできる「セット割」「送料無料キャンペーン」「初回限定クーポン」など、お得に買える仕組みが豊富です。
また、SNS(Instagram、X(旧Twitter)、LINEなど)で公式アカウントをフォローしておけば、ゲリラ的に行われるタイムセールや限定クーポン配布のチャンスも。
購入前には「〇〇ブルワリー 公式」で検索するひと手間が、お得に繋がります。ている場合、そのブルワリーのSNSをフォローしておくとお得情報が掲載されるケースもあります。
失敗しない! 自分に合ったクラフトビールの選び方
クラフトビールは銘柄数が多く、個性的な味わいのものが豊富にそろっています。その分、「どれを選べばいいか分からない」と感じる方も少なくありません。
ここでは、味の好みや飲み方のスタイルに応じた、クラフトビールの選び方のポイントを解説します。
味のタイプ | 特徴 | スタイル例 |
---|---|---|
フルーティ | 果実のような甘さや香り。苦味が少なく飲みやすい | ヴァイツェン、フルーツビール、ペルジャンホワイト |
苦味しっかり | ホップ由来のキリッとした苦味 | IPA |
香り重視 | スパイスや柑橘、ハーブの香りを楽しめる | セゾン、アロマホップ系ペールエール |
濃厚リッチ | コクのある麦芽感、甘みも強め | スタウト、ポーター |
初めての方は、フルーティなヴァイツェンや、飲みやすいペルジャンホワイトから試してみるのがオススメです。
クラフトビールのスタイルについて、より詳しく知りたい方は、下記の記事もご一読ください。
まずは“自分に合う1本”からはじめてみよう
クラフトビールは、種類の豊富さや味の多様性が魅力のひとつです。そのぶん「選び方が難しい」と感じる方もいるかもしれませんが、大切なのは“自分の好みに合うかどうか”という視点です。
「どんな味が好きか」「どんなシーンで飲みたいか」を考えながら、飲み比べセットやサブスクなどを活用すれば、きっとあなたにぴったりの1本に出会えるはず。
クラフトビールの世界は、選ぶ楽しさ、発見の驚きも含めて面白いもの。ぜひ気負わず、気軽な一歩から始めてみてください。