近年のクラフトビール人気の高まりを受け、「自分でもクラフトビールを作ってみたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
そんな方に向け、本記事では、クラフトビールの作り方を解説します。
※アルコール分1度以上のものを作ってしまうと酒税法違反となってしまうため、実際にご自宅でビール作りを楽しむ際は十分にご注意ください。
参考リンク:国税庁のQ&A「自家醸造」
クラフトビールの原料
クラフトビールの原料は、大きく分けると次の3つです。
1.麦芽(モルト香)
麦芽は、主に大麦を発芽・焙燥させたものです。
麦芽に使われる大麦には二条大麦が多く、これらを水につけて発芽させ、その後、乾燥させていきます(焙燥)。その後、伸びた根を取り除くと麦芽が完成します。
麦芽はビールの見た目を左右する存在で、選ぶ麦芽によって黒ビールや琥珀ビールなどに色味が変化します。また、麦芽の量が多いほど、ビールの味は甘くなっていく傾向があります。
なお、麦芽にはデンプンやタンパク質、ビタミン、ミネラルなどが含まれています。
2.ホップ
ホップは、つる性植物の花の蕾(毬花)です。
ホップには「ルプリン」という苦味や香りを与える成分が含まれており、産地(品種)によって味わい・香りが変わります。
最近では、クラフトビールを中心として、国内産のホップを使用したビールも増えています。また、「ソラチエース」に代表されるように、大手ビールメーカーも国内産のホップを使用したビールをリリースしています。
※「ソラチエース」は、米国産を使用、上富良野産も一部使用
3.酵母
酵母は、糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物です。キノコやカビなどと同様、真菌類に分類されます。
酵母は、ビールのスタイルを決める、非常に重要な原料のひとつです。ビール酵母は大きく「ラガー酵母」と「エール酵母」に分かれています。
・「ラガー酵母」→すっきりと軽快な喉越し
・「エール酵母」→フルーティで風味が強い
また、クラフトビールには、ビール酵母以外、例えばワインや日本酒、焼酎に使われるような酵母を採用しているものもあります。
その他の原料
ここまで紹介した3つの原料が揃えば、ビールを作ることができます。
ただ、最近ではこれら3つの原料の他に「副原料」を入れることで、オリジナリティを与えられたクラフトビールも少なくありません。
レモンやコショウなどは、今や一般的になってきていますが、その他にも様々な副原料が入っているので、クラフトビールを手に取る際には、ぜひ気にしてみてください。
※副原料については、こちら(ビール・発泡酒・第3のビールの違いとは? 初心者向けにわかりやすく解説)の記事もご一読ください。
クラフトビールの製造工程 5STEP
ここからは、クラフトビールの製造工程を、5つのステップに分けて紹介していきます。
STEP1 麦芽の粉砕
麦芽は、粉砕することでデンプンが溶けやすくなり、糖化がしやすくなります。
そこでまず、粉砕機と呼ばれる機械で、麦芽をビール作りにちょうど良いサイズに粉砕していきます。
STEP2 糖化
麦芽の粉砕したものを鍋に入れ、温水と混ぜます。すると麦芽の酵素「アミラーゼ」が働いて、デンプンが糖に変化していきます(糖化)。
アミラーゼは、だいたい60〜70度で最も活性化するので、その温度帯に鍋の中をコントロールする必要があります。
こうして完成した麦汁は、濾してきれいにしておきます。
STEP3 煮沸・ホッピング
別の鍋を用意し、糖化した麦汁を煮沸していきます。こうすることで、タンパク質や不要な成分を除去することができます。
その上で、ホップを加え、さらに煮沸して苦味や香りを引き出していきます。
長時間煮沸すると香りが飛んでしまうため、ホップは後から入れることがポイントです。
STEP4 発酵
冷却器を使って煮沸した麦汁を急冷し、酵母が活動しやすい温度にします。その上で酵母を加え、発酵させます。
酵母が糖分をアルコールと炭酸ガスに分解することで、ビールが完成していきます。
STEP5 熟成
発酵が終わったビールは、熟成させることで味がまろやかになります。こうしてビールが完成。工場では、さらに、熱殺菌などの工程を経てパッケージングされ、出荷されていきます。
自宅でクラフトビールを作るために
ここまで、工場におけるビール作りについて解説してきました。
しかし、粉砕機や冷却器など機材の問題もあり、自宅でこれらの工程を行うことは、難しいという人が大半でしょう。
そこで最近では、自宅で気軽にクラフトビール作りを楽しめるキットが発売されています。まずは、こうしたキットを作成して、その工程を体験してみると良いでしょう。