クラフトビールには、「IPA」「スタウト」「ヴァイツェン」など、実に多彩な“スタイル”が存在します。
そのため、「どんな味なのか分からない」「どれを選べばいいのか迷う」と感じる方も多いのでは?
この記事では、クラフトビールの代表的なスタイルを10種類に厳選し、それぞれの味・香り・アルコール度数・おすすめタイプを初心者向けにわかりやすく解説します。
あなたにぴったりのクラフトビールを見つけるヒントがきっと見つかります!
※クラフトビールそのものについて詳しく知りたい方は、「クラフトビールとは!? 初心者向けにわかりやすく解説!」もあわせてご覧ください。
クラフトビールの種類=スタイルとは?
クラフトビールと一口に言っても、実は「IPA」「スタウト」「ヴァイツェン」など、さまざまな“スタイル(種類)”があります。
このスタイルとは、ビールの「味わい」や「香り」、「色合い」や「アルコール度数」などの違いを生む、分類のこと。
つまり、スタイルを知る=クラフトビール選びがもっと楽しくなるヒントなのです。
「どれを選べばいいのか分からない…」という方も、まずはスタイルの特徴をざっくり知ることで、自分好みの1本に出会いやすくなります。
ラガーとエールの違い
ビールのスタイルを理解する上で、まず知っておきたいのが「ラガー」と「エール」の違いです。
• ラガー:キンキンに冷やしてゴクゴク飲むタイプ。のどごしスッキリで、日本の一般的なビールのほとんどがこれ。
• エール:香りや味わいをじっくり楽しむタイプ。温度が少し高めでも美味しくて、クラフトビールに多いのがこちら。
国内大手メーカーから販売されている、一般的な”ビール”はラガータイプがほとんどです。一方、クラフトビールの多くはエールタイプで、香りやコクの奥深さを感じられるのが特徴です。
なぜ種類が多い? クラフトビールならではの背景
クラフトビールは、なぜこんなにも種類(スタイル)が多いのでしょうか?
その理由は、小規模なブルワリーが自由な発想でつくっているから。大手メーカーのように「万人にウケる味」ではなく、「こんなビールを届けたい!」という職人たちのこだわりが詰まっています。
さらに、使うホップやモルトの種類、酵母、発酵方法、仕込みの工夫など、あらゆる要素で個性が出せるのも、クラフトビールならでは。
世界には100種類以上のスタイルがあると言われており、まさに“味の冒険”ができるのがクラフトビールの醍醐味です。
人気のクラフトビールの種類(スタイル)10選
クラフトビールには、IPAやスタウトなど、世界中で愛されるさまざまな“スタイル(種類)”があります。それぞれ味や香りの特徴がまったく違うので、「こんなに違うの!?」と驚く方も多いはず。
まずは代表的な10種類を、ざっくりと一覧で比較してみましょう。
スタイル名 | 色合い | 味 | 香り | アルコール度数 | 初心者向き? |
---|---|---|---|---|---|
IPA | 濃い琥珀 | 強い苦味、 パンチのある味 | 柑橘・トロピカル | 6〜7.5% | △ |
ペールエール | 琥珀〜銅色 | バランスが良く飲みやすい | フローラル・フルーティ | 5〜6% | ◎ |
スタウト | 黒 | 焙煎の苦味、 コクが強い | コーヒー・チョコ系 | 5〜7% | ○ |
ポーター | 濃い茶色 | スタウトより やや軽め | ロースト香 | 4.5〜6.5% | ○ |
ヴァイツェン | 濃い金色 | まろやか、 甘みも感じる | バナナ・クローブ | 4.5〜5.5% | ◎ |
セゾン | 淡い金色 | ドライで スパイシー | フルーティ+スパイス感 | 5.5〜7% | ○ |
サワー | さまざま | 酸味が強く クセがある | ベリー・発酵香など | 4〜6% | △ |
ホワイトエール | 淡い黄色 | 軽やかでやさしい甘み | オレンジピール・コリアンダー | 4〜5.5% | ◎ |
アンバーエール | 赤褐色 | モルトの甘みとコク | キャラメル感 | 4.5〜6% | ○ |
ピルスナー | 明るい金色 | スッキリ爽快、のどごし抜群 | 控えめなホップ香 | 4.5〜5.5% | ◎ |
ここからは、上記10スタイルについて、1つずつ簡単に紹介していきます。
IPA(India Pale Ale)
IPAは、クラフトビールの代表格。強い苦味と鮮烈な香りが特徴で、柑橘やトロピカル系のホップが使われることが多いです。
飲みごたえがあり、クラフトビール好きにはたまらない一本。
• 苦味:★★★★★|香り:★★★★★|アルコール:6〜7.5%
• こんな人におすすめ:パンチのある味が好きな方、香りにこだわりたい
ペールエール
バランスの取れた味わいで、初心者にもおすすめのスタイル。苦味と香りがちょうどよく、どんな料理にも合わせやすいのが魅力です。
• 苦味:★★★☆☆|香り:★★★☆☆|アルコール:5〜6%
• こんな人におすすめ:初めてクラフトビールに挑戦する方
スタウト
真っ黒な見た目が印象的なスタイル。焙煎されたモルトの風味で、コーヒーやチョコのような香ばしさが楽しめます。
• 苦味:★★★☆☆|香り:★★★★☆|アルコール:5〜7%
• こんな人におすすめ:甘みのない、大人のビールを飲みたい方
ポーター
スタウトに似た濃色ビールですが、味わいはもう少し軽やか。ロースト感がありつつも、まろやかで飲みやすいのが特徴です。
• 苦味:★★★☆☆|香り:★★★☆☆|アルコール:4.5〜6.5%
• こんな人におすすめ:黒ビール初心者や食中酒に使いたい方
ヴァイツェン
小麦を使ったビールで、まろやかな口当たりとバナナのような香りが特徴。苦味がほとんどなく、ビールが苦手な方でも飲みやすいです。
• 苦味:★☆☆☆☆|香り:★★★★☆|アルコール:4.5〜5.5%
• こんな人におすすめ:ビールの苦味が苦手な方、女性にも人気
セゾン
ベルギー発祥のスタイルで、スパイシーでキリッとドライな味わい。暑い季節にぴったりの爽快感があります。
• 苦味:★★★☆☆|香り:★★★★☆|アルコール:5.5〜7%
• こんな人におすすめ:軽やかだけど個性のあるビールが飲みたい方
サワーエール
その名の通り酸っぱいビール。フルーツや乳酸菌を使うこともあり、ヨーグルトのような酸味を感じるものもあります。
• 苦味:★☆☆☆☆|香り:★★★☆☆|アルコール:4〜6%
• こんな人におすすめ:新しい味に出会いたい、冒険好きな方
ホワイトエール
小麦ベースでやさしい味わい。オレンジピールやスパイスが使われていることが多く、軽やかで香りが豊かなビールです。
• 苦味:★☆☆☆☆|香り:★★★☆☆|アルコール:4〜5.5%
• こんな人におすすめ:爽やかなビールを楽しみたい方、昼飲みにも
アンバーエール
赤みがかった色が特徴で、モルトの甘みと香ばしさがしっかり感じられるスタイル。食事にも合わせやすく、飲みごたえもあります。
• 苦味:★★★☆☆|香り:★★★☆☆|アルコール:4.5〜6%
• こんな人におすすめ:コクのあるビールが好きな方
ピルスナー
日本でおなじみの「のどごし重視」タイプ。キレのある飲み口で、暑い日や風呂上がりに最高の一杯です。
• 苦味:★★★☆☆|香り:★★☆☆☆|アルコール:4.5〜5.5%
• こんな人におすすめ:すっきりしたビールを探している方
初心者におすすめのスタイルは?
クラフトビールに興味はあるけれど、「どれを選べばいいのか分からない」「失敗したくない…」という方も多いのではないでしょうか。
実はクラフトビールは、自分の好みに合わせて選ぶことで、「おいしい!」と思える一杯に出会える確率がぐんと高まります。
ここでは、「苦味が苦手」「香りを楽しみたい」「黒ビールに挑戦したい」など、タイプ別におすすめのスタイルをご紹介します。
「苦味が苦手な人」向け
「ビールの苦さがちょっと苦手…」という方には、ヴァイツェンやホワイトエールがおすすめです。
• ヴァイツェン:小麦を使ったやさしい味わいで、バナナのような香りが特徴。苦味はほとんどなく、まろやかな飲み口です。
• ホワイトエール:オレンジピールやスパイスが使われており、爽やかでやさしい甘みが感じられます。
どちらもビールが苦手な方でも飲みやすく、“はじめてのクラフトビール”にぴったりです。
「香りを楽しみたい人」向け
香りの豊かさに感動するのも、クラフトビールの醍醐味のひとつ。そんな方には、IPAやセゾンといったスタイルがおすすめです。
• IPA(インディア・ペールエール):柑橘やトロピカルフルーツのような香りが立ちのぼり、飲む前から楽しいビール。苦味は強め。
• セゾン:フルーティでありながら、ほんのりスパイシー。香りの変化が面白く、飲み飽きない1本です。
このスタイルを選んでおけば、「ビールってこんなに香りが華やかなんだ!」と感じられる体験になるはずです。
「黒ビールに挑戦したい人」向け
見た目が真っ黒な黒ビール。ちょっとハードルが高そうに見えますが、実は意外と飲みやすいものもあります。
• ポーター:コーヒーのようなロースト感と軽めの飲み口が特徴。「黒ビールビギナー」向けのスタイルです。
• スタウト:より深みのあるコクと香ばしさを楽しめます。チョコやカカオの風味が好きな方におすすめ。
黒ビールは寒い季節や食後の一杯にもぴったり。デザート感覚で楽しむ方も増えています。
どのスタイルを選んだらいいか迷ったら、飲み比べセットや、スタッフのいるビアバーで試してみるのもひとつの方法です。
クラフトビールをもっと楽しむために
クラフトビールの魅力は、味の違いや香りの豊かさだけではありません。飲み方を工夫したり、料理と組み合わせたりすることで、その楽しみ方はもっと広がります。
ここでは、クラフトビールの世界をより深く味わうためのヒントをご紹介します。
飲み比べセットという選択
「いろんな種類を試してみたい」「自分の好みを見つけたい」という方におすすめなのが、飲み比べセットです。
異なるスタイルのビールを少しずつ楽しめるため、初心者にもぴったり。
通販サイトやクラフトビール専門店では、テーマ別のセット(例:IPAセット、季節限定セットなど)も豊富にそろっています。家飲みで気軽に試せるのも、うれしいポイントです。
料理との相性=ペアリングを試す
クラフトビールは、料理とのペアリングを楽しめるのも魅力のひとつ。
• IPA × スパイシーな料理(唐揚げ・カレーなど)
• スタウト × チョコレートやデザート
• ヴァイツェン × ソーセージや白身魚
といったように、ビールの味や香りに合わせて料理を選ぶと、お互いを引き立て合う新しいおいしさに出会えます。
外食時だけでなく、日常の食事でもぜひ試してみてください。
SNSやブログなども参考にして、お気に入りを見つけよう
ここまで、クラフトビールの種類(スタイル)について解説してきました。
クラフトビールのアルコール度数は低くはありませんので、一度に色々なクラフトビールを味わうことは、なかなか難しいでしょう。
SNSやブログのレビューなども参考にしつつ狙いを定め、ぜひ自分のお気に入りを探し当ててみてください。