クラフトビールに興味を持ち始めたばかりの方の中には、「ランビック」というスタイルについて、詳しく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ランビックビールは、ベルギーの首都ブリュッセル周辺で作られる伝統的なビールです。この記事では、そんなランビックビールの魅力について、詳しく解説していきます。
ランビックビールとは
ランビックは、ベルギー原産の伝統的なビールで、特にブリュッセル周辺で製造されています。
その最大の特徴は、「開放発酵」と呼ばれる自然発酵による醸造法で、地域の自然環境に依存しています。基本的には酸味が強く、独特の複雑な風味が特徴。ブルワーによっては、フルーツの風味が加えられることもあります。
ランビックビールの特徴
ランビックビールの最も顕著な特徴は、その独特な「開放発酵」と呼ばれる発酵プロセスにあります。
開放発酵は、日本酒の発酵などにも使われている手法です。密閉されたタンクではなく、大きな開放型の発酵槽を使って発酵させることで、空気中に自然に存在する野生酵母や細菌を活用します。こうして自然発酵することで、ランビックビールは非常に独特の風味に仕上がります。
酸味が強く、フルーティで、やや野生的な風味は、ランビックビールならではのもの。この伝統的な発酵方法は、非常に労力と時間を要するプロセスであり、現代のビール醸造とは大きく異なります。そのため、ランビックビールは愛好家にとって特別な存在とされ、その独特な風味は世界中で高く評価されています。
ランビックビールの歴史
ランビックビールの歴史は、少なくとも数百年以上にわたります。
前述の通り、ランビックビールの重要な製造プロセスである開放発酵は、生産地の気候などに大きく影響を受けます。このビールが古くから製造されてきたベルギーのブリュッセル周辺は、ランビックビールに適した独特の気候と酵母を持ち、その伝統的な醸造法を受け継いできました。
ランビックビールは、ビール製造の歴史の中で最も古いスタイルの一つとされている一方、伝統的な製造法を守りつつ新しい醸造技術やフルーツを加えたバリエーションを取り入れることで、現代でも進化を続けています。
ランビックビールの種類
ランビックビールはその製造法と成熟プロセスで、さまざまなスタイルと風味が生まれます。ここでは、その代表的な種類を紹介します。
ピュアランビック
ピュアランビック、または「オウデ・ランビック」は、フルーツを添加せずに提供される最も伝統的なスタイルです。数年間のバレル熟成を経て、独特の酸味と野性的な風味が発展します。このスタイルは、ランビックビールの複雑さと微妙な風味の変化を味わうのに最適です。
ゲーゼ
ゲーゼは、異なる年代のランビックビールをブレンドし、瓶内で二次発酵させたものです。このプロセスにより、より複雑な味わいと洗練された酸味が生まれます。シャンパンのような炭酸感を持ち、バランスのとれた酸味とフルーティなアロマが特徴です。
フルーツランビック
フルーツランビックは、チェリー（クリーク）、ラズベリー（フランボワーズ）、桃（ペシェ）などのフルーツを添加して醸造したビールです。フルーツの甘味と自然の酸味がランビックの風味と融合し、よりアプローチしやすい味わいを提供します。これらのスタイルは、酸味とフルーツの風味のバランスが絶妙です。
ファロ
ファロは、若いランビックにキャンディーシュガーやブラウンシュガーを加えて甘くしたスタイルです。この甘味はランビックの自然な酸味を和らげ、よりマイルドで飲みやすいビールを生み出します。伝統的には、ファロはより日常的な飲み物として人気がありました。
ランビックビールの飲み方
ランビックビールは、急いで飲むよりもゆっくりと時間をかけて味わうことで、その複雑な風味をより深く楽しめます。時間をかけることで、ビールの温度や酸素との接触によって、飲むうちに風味が変化していくのを感じ取ることができるはずです。
また、ペアリングについては、特に、チーズや冷製肉、シーフードとの相性が良いです。これは、ランビックビールの酸味が料理の風味を引き立てるためです。フルーティなスタイルのランビックビールを選べば、デザートやフルーツベースの料理とのペアリングも楽しめるでしょう。
まとめ
ここまで、ランビックビールの特徴や種類、飲み方などについて解説してきました。
まだランビックビールを味わったことのない方は、ぜひ一度お試しください。
