クラフトビールは、大手メーカーが製造するビールと比べて、原料や製法にこだわって作られているビールです。そのため、保存方法にシビアなものもあり、注意が必要です。
この記事では、クラフトビールの保存方法の基本や注意点などについて、わかりやすく説明します。
クラフトビールの保存方法
ビールといえば「冷蔵庫に入れるのが当たり前」と考える方も多いかもしれません。
しかし実際には、冷蔵保存だけでなく常温保存も可能です。リカーショップやスーパーなどでは、缶ビールがケース売りされていることからも、常温保存を前提として製造されていることがわかります。
一方、クラフトビールの場合、常温保存を前提として製造していないものが多いため、注意が必要です。こうしたビールは、リカーショップなどでも冷蔵庫内で販売されています。
常温保存? 冷蔵保存? 見分け方は
購入したビールが、冷蔵保存しなければならないのか、あるいは常温保存でも良いのかを見分けるには、瓶や缶に貼られたラベルをチェックすればOKです。
ラベルには「常温」「要冷蔵」「冷暗所」といった表示があるので、それらに従いましょう。
ただし、中にはこうした記載がない場合があります。このような場合は、ブルワリーや販売代理店に問い合わせる手もありますが、冷蔵庫で保管しておくのがベターでしょう。
常温保存時の注意点
常温保存可能なクラフトビールであっても、「光」と「温度」には十分な注意が必要です。
クラフトビールは、非常に光に弱く、特に直射日光に含まれる紫外線を受けると中身が変質して、味わいや香りを劣化させてしまう原因となります。
ビールの瓶に茶色のものが多いのも、極力、光を通さないような工夫の一つです。
また、日光だけを遮れば良いというわけではなく、蛍光灯の光も弱点なので、避けましょう。これは、蛍光灯の光にも一部、紫外線が含まれているためです。
一方、温度についてはやはり、高温だとクラフトビールの味わいや香りが劣化してしまいます。ワインの場合、常温といえば「12〜15度」を指すと言われています。クラフトビールの場合はそれほどシビアではないものの、25度を超えるような場所に保存しておくのは避けましょう。
クラフトビール 冷蔵保存時のポイント
クラフトビールは、冷蔵保存することでビールの味わいや香りを長持ちさせ、劣化を防ぐことができます。
ここでは、冷蔵保存時のポイントを3つに絞って解説します。
ポイント1 極力、動かさない
クラフトビールは、振動を受けるとタンパク質や酵母が分離し、味わいや香りが劣化してしまう可能性があります。そのため、冷蔵庫に入れるときや取り出すときは、なるべく動かさないようにすることが重要です。
また、ビールを冷蔵庫に入れるときは、ドアポケットや冷気の吹き出し口付近は避け、できるだけ揺れや振動が少ない場所に置きましょう。
ポイント2 横置きしない
クラフトビールは、「酸化」に弱い飲み物です。
クラフトビールの原料である麦芽やホップ、酵母などの成分が、空気中の酸素と反応すると、苦味や雑味が増し、風味や香りが失われていくためです。
このことを踏まえると、クラフトビールを横置きすると、瓶や缶の中の空気がビールに触れる面積が多くなってしまい、酸化が加速するおそれがあります。そのため、冷蔵庫内では極力、クラフトビールは立てて保管しましょう。
※ビールの原料について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご一読ください。
ポイント3 匂いの強い食品の近くに置かない
クラフトビールを匂いの強い食品の近くに置くと、味わいや香りに食品の匂いが移ってしまう可能性があります。
さらに、クラフトビールの泡立ちにも影響を与える可能性もあります。匂いの強い食品の成分が、泡の成分と化学反応を起こし、泡を安定させにくくするためです。
特に、魚介類や香辛料、香り付けされた食品などの近くに置かないよう、注意が必要です。
クラフトビールを開けたら、できるだけ早く飲み切りましょう
ポイント2でも解説したように、酸化はクラフトビールの保存にとって大敵です。
そのため、クラフトビールを開栓したら、途中で冷蔵庫に戻すようなことはせず、できるだけ早く飲み切ってしまうことをおすすめします。
ただ、中には「量が多くて1日では飲みきれない」という方もいらっしゃるでしょう。そうした場合には、「グロウラー」を使ってみるのも、一つの手です。
グロウラーは本来、ビールを持ち運ぶための容器で、炭酸を保持したまま保存ができることが特徴です。ガラス製・陶器製・ステンレス製など様々な種類が販売されていますので、チェックしてみましょう。
もちろん、グロウラー本来の使い道である、ブルワリーなどでビールを販売してもらう際にも活用することができます。
神経質になりすぎないように注意!
ここまで、クラフトビールの保存方法について解説してきました。
本記事に記載したポイントを実践することで、時間経過によるクラフトビールの劣化を最小限にすることができるはずです。
ただし、あまり神経質にポイントを守ろうとすると、かえってめんどうになってしまうこともあるので注意が必要です。
クラフトビールはあくまでも楽しんで飲むものですから、保存方法で嫌になってしまわないよう、最低限の知識として覚えておくくらいで良いと思います。