セゾンは、ベルギー南部で生まれた、柑橘系の香りとスパイシーな香りが特徴のビールです。近年、日本でも人気が高まっており、さまざまな種類のセゾンが販売されています。
そこで今回は、セゾンの種類や特徴、おすすめの飲み方やペアリングをご紹介します。
セゾンビールとは
セゾンはもともと、ベルギーのワロン地方で農場の労働者のために作られたとされています。
夏の収穫期に飲まれることが多く、保存性を高めるためにアルコール度数がやや高めに設定されていることが特徴です。具体的には、6~8%程度ですが、中にはそれ以上のものもあります。
セゾンビールは、スパイシーかつフルーティな風味で、ドライでリフレッシュ感のある味わいがあります。独特の酵母が使用されており、ハーブやスパイスが加えるケースもあります。
色は金色やアンバー色がかったオレンジ色が多く、泡立ちは良好です。
前述した通り、伝統的には夏の季節に合わせて醸造されることが多かったですが、現在では一年中楽しめるスタイルとなっています。
セゾンビールの歴史
ここからは、セゾンビールの歴史について、より詳しく紐解いてみましょう。
セゾンはベルギーのワロン地方、特にエノー州で17世紀から18世紀にかけて発展しました。この地域は農業が盛んで、ビールは農場労働者のために作られていました。
この時代、セゾンは農場で醸造されており、特に農繁期の夏には農場労働者の飲み物として提供されていました。水が不衛生だった当時、安全な飲料水の代わりとしてセゾンは重要な存在だったと言えます。
当時、冷蔵技術がなかったため、ビールは冬に醸造され、夏に飲むために保存されていました。そこで、セゾンはアルコール度数が高く、ホップの量も多めに作られていました。こうすることで、ビールの保存性を高めるためです。
こうした背景から、セゾンにはもともと農場ごとに独自のレシピがあり、非常に多様な存在でした。20世紀に入ると、産業化やビール製造技術の進化に伴い、品質やスタイルが均一化がされてきましたが、今日のクラフトビール人気を受けて再びその多様性が評価され、多くのクラフトビール醸造所が独自のセゾンを生産しています。
セゾンビールの種類と、おすすめ銘柄
前述した通り、セゾンは非常に多様性のあるビールですので、その種類は豊富です。その中から今回は、日本でも手に入りやすい種類と、おすすめの銘柄を2つ紹介していきます。
クラシック・セゾン
セゾンの原型とも言えるスタイルです。典型的には、金色から淡いアンバー色で、透明度が高いのが特徴です。
香りはスパイシーかつフルーティで、特にペッパーや柑橘類のようなノートが感じられます。ホップの苦味は控えめで、ドライな仕上がりです。
バランスの良い酸味と絶妙なスパイシーさがあることから、さまざまな料理との相性がよく、シーフードやグリルチキンの他、タイ料理やインド料理とのペアリングも楽しめます。
日本で手に入りやすいクラシック・セゾンとしては、ヤッホーブルーイングからリリースされている「僕ビール君ビール」が挙げられます。
アルコール度数4.5%と比較的、低めに抑えられているため、お酒が強くない方にも飲みやすいことが特徴です。
ダーク・セゾン
クラシック・セゾンより深い色を持ち、アンバーやブラウンといった色味が特徴のセゾンです。
マルチなキャラクターが強く、カラメル、トースト、時にはローストされた麦芽の風味が感じられます。もちろん、セゾンの特徴である、フルーティでスパイシーな香りもあります。
ダーク・セゾンは、クラシック・セゾンと比較すると、深い風味の料理とのペアリングが適しています。具体的には、煮込み料理や、グリルした赤身肉などとの相性が良いでしょう。
日本で手に入りやすいダーク・セゾンとしては、志賀高原ビールからリリースされている「山伏 弐」が挙げられます。
アルコール度数は8%と高めで、重厚な味わいを楽しむことができます。
まとめ
この記事では、セゾンビールの特徴や歴史、適したペアリングやおすすめの銘柄について解説・紹介してきました。
セゾンといえば夏、というイメージがありますが、最近では一年を通して飲みやすい銘柄も多いので、ぜひ季節を問わずチャレンジしてみてください。